6月 | 2019 | 春は花

安田念珠店 オフィシャルサイト

春は花

「祈る」ということ

「あなたは熱心に仏様を拝んでいますが、何を求めているのですか?」と、ある人に尋ねられました。”熱心に”というのはお愛想だと思いますが、確かに「祈る」という行為をすることは多いです。
私は宗教に関しては結構冷めた考えを持っています。聖書や神話、お経などは好きですし、読む機会は多いです。ただ、所謂「物語」の一種として聖典を捉えています。科学的に神仏の存在を証明しなさいと言われてもなかなか難しいですし、恐らく誰にもできないでしょう。私は、神仏の存在を証明するより人それぞれの「祈り」という行為こそが大切だと思っています。
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神仏とは「列祖の祈りの総体」として出来上がったものだと捉えています。「家族が健康でありますように!」や「地震での被害からの苦しみを救って下さい!」など人々が経験してきた苦しみから生まれる「祈り」こそが大切なものなのだと考えています。立派な寺社や教会、仏像などもそうした「祈りの結晶」として私たちの目に見えているものだと思うのです。
弊社が「念珠」という呼び名にこだわるのも「祈り」という人々の「念」が詰まった商品が念珠だと捉えているからなのです。皆が笑顔で居られるように「祈り」を続けることこそ大切なことであると私は考えています。

教わるということ~経本を頂戴して~

知り合いの方から抜き刷りやご著書をご恵贈頂くことが私には時々あります。勉強になりますし、人の文章を読んで、自分の文章に活かそうとすることもあります。
先日ご紹介した唐招提寺の開山忌にお参りした際に初めてお目に掛かった法相宗の僧侶の方が今週、私に経本をご恵贈下さいました。個人的には、天台宗と真言宗の平安仏教と、浄土宗や臨済宗などの鎌倉仏教などは大体どういった経典を読誦するのか、法要に参列して見聞きしたことがありますので、ある程度は知っているつもりでいました。ただ、奈良の南都仏教に関しては全く知らず、先日唐招提寺で『梵網経』に初めて接して、「戒律」について説かれたお経があるのだと感じ入りました。今回頂戴したのは『唯識三十頌(ゆいしきさんじゅうじゅ)』というお経でした。
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ネット情報によると、歌手の宇多田ヒカルさんはこの『唯識三十頌』の写経がお気に入りとのことでした。ということで私も写経をしてみました。六百字程度でしたので、便せん五枚に約一時間ほどで書写できました。
お経の内容としては「唯識」について三十の頌(漢詩の一句の単位)でまとめられていました。「唯識」というのは、ものすごく簡単に言えば、「この世に存在する物は私たちの識(認識)によって表象(形作られる)されるものであり、識(認識)以外に事物は存在しない。」ということです。
このお経の要点は「円成実性(えんじょうじっしょう)」つまり「あるがままの完全なる境地に入っていくこと」なのだと思います。世の移ろいに流されてはならず、しっかりとした自己の認識を持たねばならない、ということを教えてくれているのだと思います。
難しい内容ではありますが、南都仏教はこうした内容を教学しておられるのだなぁ、と大変勉強になりました。人にいろいろなことを教わるのは大変にありがたいことだと感じた一週間でした。

観音様を念じながら

ツツジが綺麗な季節ですね。
数年前から弊社のエレベーターホールに観音様の絵を飾っております。これは嘗てご紹介したことをきっかけに私が掛けております。千真工藝謹製のカレンダーに掲載されていたものですので、勿論印刷されたものです。
この観音様の画賛を個人的に気に入っていて、床の間に掛けても良いなぁと思っていました。いろいろ考えた結果、以前に青松軒老大師様より色紙を頂戴致しておりましたので、お写経と「観音様を念じましょう(常念観世音)」とのお言葉を併せて1幅の掛軸に表装いたしました。
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私は、東日本大震災の折の津波で本堂が流されてしまったお寺にこちらの色紙が届けられた逸話などを見聞きするたびに、苦しむ人を救って欲しいという気持ちをこの観音様に向けます。(気仙沼のお寺円覚寺からも情報発信されています。)
弊社は今後も日々観音様を念じながら、皆様の為に尽くしていきたいと考えております。

唐招提寺 開山忌へお参り

今週は歴代祖師の御命日が続いた一週間でした。6月4日は日本天台宗の祖、伝教大師・最澄さまの御命日、6月5日は日本臨済宗の祖、千光国師・栄西さまの御命日、6月6日は日本に戒律の真を伝えた過海大師・鑑真大和上の御命日でした。
私は6月6日に唐招提寺へお参りしました。
鑑真大和上の遺徳をしのぶ舎利会では、唐招提寺の長老様と泉涌寺の長老様が向き合って問答をなさいます。泉涌寺の開山さまが月輪(がつりん)大師・俊芿(しゅんじょう)さまで、月輪大師様が日本に伝えた戒律が日本の二大律となってきたことの名残りです。唐招提寺の「南都律」と泉涌寺の「北京律」の2つが並立して、今日まで伝わっています。(西大寺の真言律宗については勉強不足でどう位置づけるのか分かりません。)
梵網経を式衆の方々と一緒にお唱えして、鑑真大和上にお焼香をしました。
律というと「あれをしてはいけない、これをしてはいけない」ということのように思いがちですし、お経にもそのように書いてあります。ただ現在、律を理解する時には「自律」という言葉が一番しっくりくるのだと思っています。まずは自分の中できちんとした基準を作り、その基準を守れるように努力する。これが在家の私たちの行える律なのだと思います。
戒律を伝えるために何度も難波しながら日本へ渡ってこられた鑑真大和上の精神力や胆力に思いを馳せたお参りでした。

己巳の日〜銭洗弁財天詣り〜

六月になりました。暑い日が続きますね。
本日六月一日は己巳(つちのとみ)の日です。60日に一度の弁財天様の御縁日です。それも五月節(立夏から芒種まで)は巳の月です。巳の月の己巳の日は弁財天様との一番御縁が深い日であるそうです。
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私は本日東京で用事があり、前泊して早朝に鎌倉の銭洗弁財天宇賀福神社にお詣りに行きました。
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早朝なので、私以外に参詣者はわずかでした。
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洞窟の中でお金を洗うのが一般的なのですが、湧き水の基をたどって階段を上ります。
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境内の御宮様を全てお参りしてからお金を洗いました。金額としては小額ですが、洗ったお金はいろいろな人に差し上げようと思います。貰ったお金はたくさんの人と食事をする際の支払いに使うと増えて戻ってきて良いそうです。
清らかな水が流れる所には、このように神様、また不動明王様が居られます。昔の人々が、朝の清々しい空気の中に神仏の存在を感じたことはよくわかる気がします。こうした水のきれいな場所で茶を喫することができると尚良いな、と思った朝の散歩でした。

安田念珠店

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