教わるということ~経本を頂戴して~ | 春は花

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教わるということ~経本を頂戴して~

知り合いの方から抜き刷りやご著書をご恵贈頂くことが私には時々あります。勉強になりますし、人の文章を読んで、自分の文章に活かそうとすることもあります。
先日ご紹介した唐招提寺の開山忌にお参りした際に初めてお目に掛かった法相宗の僧侶の方が今週、私に経本をご恵贈下さいました。個人的には、天台宗と真言宗の平安仏教と、浄土宗や臨済宗などの鎌倉仏教などは大体どういった経典を読誦するのか、法要に参列して見聞きしたことがありますので、ある程度は知っているつもりでいました。ただ、奈良の南都仏教に関しては全く知らず、先日唐招提寺で『梵網経』に初めて接して、「戒律」について説かれたお経があるのだと感じ入りました。今回頂戴したのは『唯識三十頌(ゆいしきさんじゅうじゅ)』というお経でした。
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ネット情報によると、歌手の宇多田ヒカルさんはこの『唯識三十頌』の写経がお気に入りとのことでした。ということで私も写経をしてみました。六百字程度でしたので、便せん五枚に約一時間ほどで書写できました。
お経の内容としては「唯識」について三十の頌(漢詩の一句の単位)でまとめられていました。「唯識」というのは、ものすごく簡単に言えば、「この世に存在する物は私たちの識(認識)によって表象(形作られる)されるものであり、識(認識)以外に事物は存在しない。」ということです。
このお経の要点は「円成実性(えんじょうじっしょう)」つまり「あるがままの完全なる境地に入っていくこと」なのだと思います。世の移ろいに流されてはならず、しっかりとした自己の認識を持たねばならない、ということを教えてくれているのだと思います。
難しい内容ではありますが、南都仏教はこうした内容を教学しておられるのだなぁ、と大変勉強になりました。人にいろいろなことを教わるのは大変にありがたいことだと感じた一週間でした。

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