5月 | 2020 | 春は花

安田念珠店 オフィシャルサイト

春は花

葛川息障明王院

コロナウイルスの影響が色々な所で出ています。
夏の風物詩である葛川夏安居(かつらがわげあんご)という修行の期間があります。行者様方は比叡山麓の坂本から葛川息障明王院(かつらがわそくしょうみょうおういん)まで徒歩で向かわれ、約1週間のお経の集中お稽古をなさいます。(詳しいことは葛川息障明王院のHPを参照。)
この葛川夏安居が本年は中止となりました。多くの行者様がお集まりになることを考えれば、感染の危険性が高いと言えますが、少し残念です。
近畿三十六不動尊霊場をお参りしているので、昨年の大晦日でしたが、葛川息障明王院さまへお参りに行きました。
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御本尊様は千手観音さま、脇侍に不動明王さまと毘沙門天王さまがおられます。雨が降っていた日ですし、年の瀬でしたので、参拝者は私だけでした。(御本尊さまについては詳しくは葛川息障明王院のHPを参照。)
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観音さま、お不動さま、毘沙門さまと近時お参りしている仏様が一堂に会しておられ、個人的には大変感動しました。ひっそりとしたお堂に立派な仏様が鎮座されていることに感動を覚えたのです。
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参拝を終えた後、駐車場からお堂の方面を見ると霧がかかっていました。こうした歴史ある場での伝統的な修行が目に見えぬウイルスで中止になったことは本当に残念です。来年は本来の形で実施されるようにお祈りしています。

般若心経と仏様の教え

一部地域では緊急事態宣言が解除されました。第二波が襲来しないように予防しながら生活を何とか平常に戻していければと願っています。
「外出自粛」という状況の中でインターネットを通じた法話を配信している寺院が多くあります。私が何度か法話を拝聴した経験がある真言宗須磨寺派須磨寺副住職の小池陽人(ようにん)和尚様が、ここ最近は毎日ウェブ法話をアップロードされておられます。5月に入ってからは「般若心経」について毎日少しずつ解説をして下さっています。
5月15日までの全9回に亘って般若心経を解説して下さっています。本文は266文字の短いお経で多くの宗派で読誦されます。内容については掲載した動画をご覧いただければ良いと思います。
私はお唱えする機会が結構多いですが、いろいろなお寺にお参りしてみると宗派によって少しずつ違うことがあります。


・タイトルについて
多くの宗派:「摩訶般若波羅蜜多心経」
真言宗:「佛説摩訶般若波羅蜜多心経」


・読み方について
「観自在菩薩 行深般若波羅蜜多」の部分
多くの宗派:「かんじざいぼさつ ぎょうじんはんにゃはらみた」
禅宗「かんじーざいぼーさー ぎょーじんはんにゃはらみた」
「呪即説呪曰」の部分
多くの宗派:「しゅうそくせつしゅうわつ」
禅宗「しゅーそくせーしゅーわつ」


ちょっとした違いなのですが、大勢の参拝者の方々と一緒に読誦する際に一人だけ違うと目立ちます。
般若心経だけでなく、光明真言でも少し違いがあります。


・光明真言
天台宗:「オン アボキャ ビロシャナ マカモダラ マニ ハンドマ ジンバラ ハラバリタヤ ウン」
真言宗:「オン アボキャ ベイロシャノウ マカボダラ マニ ハンドマ ジンバラ ハラバリタヤ ウン」


これは日本語へ導入した際に訳者に応じて生じる音の誤差の問題であると理解しています。意味は同じです。
宗派の違いによっていろいろと違いはありますが、だからといって説かれていることに大きな差があるとは思いません。
自分がこの世に生を享けたことに感謝する、そして親や隣人を大切にしましょう。
私はこれに尽きると思っています。仏様の御教えというのはそんなに難しくはないのです。いろいろなことを学びながらも、日々命や自然に感謝することを忘れてはならないなぁ、とウェブ法話を視聴しながら感じました。

阿弥陀様の前での般若心経

自宅で過ごす時間が増えると、今まであまり観ていなかった動画を観る時間ができました。
私はいろいろなお寺をお参りした際にお堂の内部は「撮影禁止」とあるので、お堂内部はあまり撮影することはありません。私が一番多くの回数お参りしているのは弊社本店の前の誓願寺様です。このブログでもご紹介したことがあります。
誓願寺様には御本尊として大きな阿弥陀坐像があります。阿弥陀様の見つめる先に六角通があり弊社本店があります。この阿弥陀様を本ブログで紹介したいという気持ちは前々からあったのですが、実現できていませんでした。
今回、いろいろと動画を観ていると誓願寺様の本堂で音楽に合わせて「般若心経」を唱えられている動画を発見しました。
唱師は薬師寺寛邦様という臨済宗の僧侶の方でした。誓願寺は「落語発祥の地」ということで最初に「寿限無」を取り入れておられます。
アップロードされてから約1週間ですが、既に再生回数が7万回ほどということです。般若心経を普通に仏前でお唱えすることももちろん大切なのですが、このように現代音楽に合わせてお唱えする、そしてそれを世界に向けて発信するということは素晴らしいことだなぁ、と思いました。
誓願寺の阿弥陀様の大きさや素晴らしさを体感できる良い動画だと思います。こんな時期だからこそ、人々の安寧を願いながらこういう動画を観るのも意義ある時間の使い方なのではないか、と思いました。

「祈り」を信じて

春爛漫の季節です。昨年の5月1日は「令和」へと元号が変わり、御代替わりを目撃した1日でした。それから1年、こんな状況に日本が陥っているとは夢にも思いませんでした。
御即位を記念して、多くの寺院では「秘仏御開帳(普段は厨子の中に収められている仏様のお姿を拝見できる期間)」が行われる予定でありました。
【石山寺】
【紀三井寺】
【三井寺】
”33年に1度”など次回の御開帳までにかなりの期間が空きますので、是非ともお参りに行きたかった寺院です。ただ、感染拡大が続く中で、こうした秘仏にお参りできなくなりました。残念でなりません。
しかしながら、それ以上に多くの寺院では「コロナ禍が早期に終息するように」お祈りをして下さっています。大変ありがたいことです。
【高台寺】
【金峯山寺】
【円覚寺】
【慈眼寺・塩沼亮潤大阿闍梨】
【醍醐寺】
人類と病は長い間、闘ってきました。そして、その闘いの度に祈りが捧げられてきました。「『祈った』からといって病気が治るわけではない!」と言われればそれまでなのですが、人それぞれに宿る「心」の平安こそが社会の安定につながるのです。私はそう信じています。
自宅に居ても、一瞬で良いから手を合わせてお仏壇、もしくは太陽に向かって感謝の祈りを捧げる、これこそが宗教の原始的な形であり、その形を見直す良いきっかけになると私は信じています。
「人間万事塞翁が馬(じんかんばんじさいおうがうま)」との言葉通り、これだけの事態は将来の何か良い結果をもたらしてくれるための布石だと信じて毎日祈れればと思います。

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