1月 | 2018 | 春は花

安田念珠店 オフィシャルサイト

春は花

「こころ」と「おこない」の往復

お店などに行った際、店内でお花が活けてあることがあります。野に咲く花とは違い、季節や花瓶、そしてお店の雰囲気などに併せてお花が活けられています。そういうお花を見た時、何だか落ち着く気がします。
私はお花を活ける機会を持った時、ただお花を花瓶に差しただけで上手くできたように思えないことがよくあります。お花を活けるということの難しさを痛感します。
日本ではお花を活けることが「華道」という藝術体系として確立されています。最近では野村萬斎さんの主演で映画化された『花戦さ』で華道を身近に感じられた方もいらっしゃるかもしれません。日本において「道」が付くものは華道の他に剣道、柔道、茶道、書道など様々あります。この「道」が付くものをどう考え、どう接すれば良いのか。これはとても大きな問題です。
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能楽を大成した世阿弥は『風姿花伝』という書物を遺しています。その中で次のようなことを語っています。すなわち、「芸」を通して、心を深め高めていき、また、深められ高められた「こころ」で以って「芸」を行っていくのです。この「芸」から「こころ」へを「向去(こうこ)」と、「心」から「芸」へを「却来(きゃらい)」と言っています。
つまり、お花を活けるという行為を通じて自らの心を深め、その高めた「こころ」で花を観賞する。そしてまた更に高めた「こころ」を以ってお花を活ける、という繰り返しを行うことで自分自身を高めていく、ということです。
こうした考えを知ると、活けられたお花は活けた人の「こころ」が現れたものと捉えることができます。そして、ふと目にしたお花を美しいと感じることでその「こころ」が高められていき、自らの活けるお花をより良いものとしていくのです。
お花を活ける、手を合わせる、といった何気ないことも「自分でおこなうこと」と「他の人がしている行為を見ること」の往復で徐々に高められていくのだと私は考えています。「こころ」と「おこない」の往復を通じて自らを高めていくことは難しいですが、大切なことだと感じます。先週ご紹介した書や今回のお花など、その作者の人柄を思いながら鑑賞していくことは重要なのだと感じました。

書の力

ブログの更新、滞って居りまして申し訳ございません。遅くなりましたが、本年もどうぞよろしくお願い致します。


年末年始のお休みの際、京都には多くの外国人観光客の方がお越しでした。弊店にお越しの外国人のお客様も多く居られることに、いろいろな意味で驚きを持って見ておりました。
本ブログでもWikipediaにリンクを貼ることを度々行っておりましたが、日本語版以外のWikipediaを見ることは私はそれほど多くありませんでした。ところが先日、ふとしたことからヨーロッパや米国で日本の禅への関心が異常に高いことを知りました。
弊社の寺町本店にお越しいただくと、正面に「安田念珠店」と書かれた大きな書が目に入ります。
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この書は山田無文老師(1900年~1988年)が揮毫して下さったものです。山田無文老師は今年で遷化されて30年の節目の年となりますが、未だに多くの信奉者が居られる偉大な禅僧でした。
私自身は山田無文老師に直接お目に掛かったことはなく、それこそWikipediaの情報やご高著を通してしか存じ上げておりませんでした。
そんな中、英語版のWikipediaの情報を見て、検索した結果山田無文老師の在りし日のお姿が動画で観れることが分かりました。

Zen of Yamada Mumon Roshi

この動画は、「参禅」の様子まで映し出されるというかなり貴重な動画です。
本ブログでよく高僧の方の書をご紹介することがあります。書には揮毫される方の「風格」が現れると言います。この「風格」、簡単に言うと「人柄や性格」といったところでしょうか。
山田無文老師の書は力強い中にも柔らかみがあり、独特な感じを受けます。
欧米ではこうした書が芸術として評価されていることが分かりました。文字を書くことは、その言葉が持つ意味を伝えるだけでなく、何とも言えない力を観る人に与えるのだと感じます。
外国の方々に日本がなぜ仏教と神道を大切にして歴史を歩んできたのかをきちんと説明できるようになることが、念珠を商う弊社の役割なのかもしれない、と思った次第です。
ご興味を持たれた方が居られましたら、山田無文老師の書をご覧にお気軽に弊社の寺町本店にお越しください。お待ち申し上げております。

安田念珠店

〒604-8076 京都市中京区御幸町通三条下ル海老屋町323

TEL:075-221-3735 FAX:075-221-3730

E-mail:yasuda@yasuda-nenju.com

受付時間:平日(月~金曜日)AM9:00~17:30まで