7月 | 2018 | 春は花

安田念珠店 オフィシャルサイト

春は花

西国霊場巡り(その5・大和国から紀伊国へ)

暑さが変わらず、まさに「酷暑」です。建物の外と中では温度差があり過ぎて、外出した際に体が付いていかないような感覚を覚えています。


西国霊場巡り、満願が見えてきました。今回は2カ寺のお参りの様子をご紹介します。
前回ご紹介した長谷寺から南へ行くと、南法華寺があります。通称「壷阪寺」と呼ばれます。歌舞伎や浄瑠璃では『壺阪霊験記』という演目がありますので、そちらをご存知の方も多いと思います。
【山門】
山門(壺阪寺)
【本堂】
本堂(壺阪寺)
『壺阪霊験記』は、盲目の沢市とその妻のお里の物語です。あらすじは次の通りです。沢市が目が見えるようになりますようにと、お里が毎朝、壷阪寺の観音様にお祈りに行っていました。毎朝、お里が出かけるので、沢市はお里の浮気を疑い、お里を問い詰めると3年の間、壺阪観音さまに沢市の目を治すようお祈りに行っていたと打ち明けられます。沢市はそれからお里と共に壺阪観音さまへお参りに行くようになりますが、自分が足手まといだと考えてしまい、満願の日に滝壺へ身を投げるのです。お里も後を追い身を投げます。沢市とお里の夫婦の愛を感じた観音様の霊験によって、二人は助かり、沢市の目も見えるようになった、というお話です。
このお話からも分かる通り、壺阪観音さまは「眼病治癒」の観音様として信仰を集めています。そして壷阪寺では、養護盲老人ホームが境内に設置されています。
『壺阪霊験記』の中の沢市の心情の変化、つまり、最初の嫉妬心から変化して自己嫌悪に陥り自殺するという心情の変化は人間の弱さを非常に的確に現していると感じます。
目というのは人間にとって本当に大切な器官です。目から受ける情報は膨大な量です。目の大切さだけでなく、目が見えることのありがたさなどは普段忘れてしまっているように思います。不平不満はあれども、再度、自分自身の恵まれた環境に感謝することが何より大切なことなのだと感じたお参りでした。


続いて、JRに乗って、和歌山の紀三井寺にお参りしました。。
【山門】
山門(紀三井寺)
【結縁坂】
結縁坂(紀三井寺)
【本堂】
本堂1(紀三井寺)
写真の通り、紀三井寺の本堂に至るまでの石段は231段ある急な坂で、結縁坂(けちえんざか)と呼ばれています。この石段が「結縁坂」と呼ばれるようになったのは、次のような逸話からです。紀伊國屋文左衛門がまだ若く貧しい頃に母を負ぶって紀三井寺に参拝していたところ、草鞋の鼻緒が切れました。それを挿げ替えてくれたのが後に妻となるおかよさんだったというお話です。その後、紀伊國屋文左衛門が当代随一の豪商になったのは教科書にも出てくる有名なお話です。
結縁坂の解説を読んで、一人でスタスタ西国霊場巡りをしている私は、両親を連れてお参りするのが功徳なのかもしれないなぁ、と思いました。


霊場寺院にはそれぞれに様々な逸話があり、それを知るだけでも何か心に感じるものがあります。霊場巡りだけではなく、日々お寺や神社に参詣されれば、心を洗う良い機会になると感じました。

西国霊場巡り(その4・大和国長谷寺へ)

うだるような暑さです。お加減はいかがでしょうか?


観音様を巡る旅も、西国霊場の根源地の長谷寺(はせでら)に到達しました。
まずは、長谷寺の山門をくぐります。
【山門】
山門(長谷寺)
そして登場するのが本堂まで連なる回廊です。
【回廊】
回廊(長谷寺)
そして到達した本堂「大悲閣」です。長谷寺の観音様は高さが10メートルほどある巨大な観音様です。特徴としては右手に錫杖(しゃくじょう)をお持ちであることです。錫杖はお地蔵さまが地獄に堕ちた人々を救うために導く際にお持ちになる杖です。その杖をお持ちの観音様ですから、長谷寺の観音様は今この世界に住む私たちを浄土へ導いて下さる観音様なのです。
【本堂】
本堂(長谷寺)
【本堂裏から】
本堂裏から(長谷寺)
写真や映像ではなく、ご自身の目で見て頂くと、その大きさに圧倒されます。長谷寺の観音様は錫杖と併せてお念珠をお持ちです。(詳しくはこちらをご覧ください。)長谷寺の観音さまはお地蔵様の変化(へんげ)した観音さまとも考えられるように思います。
この巨大な観音様を彫られたのは、西国霊場の草創者と言われる徳道上人(とくどうしょうにん)さまです。長谷寺の山門を出て数分歩くと、その徳道上人をご本尊とする法起院があります。
【山門】
正門(法起院)
【本堂】
本堂(法起院)
小さなお寺ではありますが、徳道上人にまつわる様々な物を見ることができました。
徳道上人さまは閻魔大王から授けられたご宝印を中山寺の石棺に収めたという話で、それを約300年後に花山法皇が掘りだしたことが西国霊場の本格化の契機となったと言われています。1300年前に中山寺から長谷寺までの道のりを歩かれたのかぁ。伝説の域を出ないお話ではありますが、今やろうと思っても大変なことですから、食料事情も治安も良くなかった時代に本当に凄まじいことをなさったのだなぁ、と思うと同時に、これほどに立派な観音様を彫られた徳道上人さまには誠に尊敬の念しかありません。1300年前から悩み苦しみを持った人々の傍らにはお念珠があったのだと、長谷寺観音さまを拝して感じた一時でした。

宗教と行動規範

先週は雨がひどく、大きな被害が出た地域もあります。まずもって、皆さまの御平安をお祈り申し上げます。
先週の大雨の中、大きなニュースがありました。オウム真理教関連の7人の死刑囚の刑が執行されたニュースです。今回はすこしこの問題に付いて考えてみたいと思います。
死刑制度の問題はいろいろな方面から議論されています。今回考えるのは、「宗教のありかた」についてです。仏教でもキリスト教でも、日本において言えば新宗派を形成する際など、その教団が「新興勢力」である場合には規制や迫害されてきた歴史があります。時には暴力を用いたこともありました。ネロ皇帝のキリスト教迫害や日蓮上人の佐渡流刑などはその例として考えられます。人が生きていれば必ず悩みがあり、その悩みを少しでも解決したいと思って宗教が存在するのだと私は考えています。
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皆の容姿が異なるように、皆の考え方は異なります。それで良いのです。ですから宗教にもいろいろな考え方があって良いと思います。ただ、自分が信奉する宗教が、冷静に考えるとおかしなことをしようとしている場面に遭遇した時に「それはおかしい」と言える在り方をもつことがどれだけ大切で、またどれだけ大変なことなのかを一連の事件を振り返ると感じます。
弊社は皆様の信じる心に寄り添ったお念珠という商品を扱っております。皆様の信じる心が無ければ、弊社は存在しません。宗教は必要なものだと考えますし、どんな世界になっても無くなってはならないものだと思います。しかし、その「信心」の発露の方向が我々の生活する社会を脅かすものであってはいけません。
宗教というよりも、日本人が古来から培ってきた「親孝行をしましょう」とか「礼儀を大切にしましょう」といった考え方を根本にもった上で行動することが大切なのだと思います。
「忠孝」の精神を持って、そして「忠ならんと欲すれば孝ならず 孝ならんと欲すれば忠ならず」という相克の中で思い悩むのが生きている証拠であり、行動の規範となるものではないのか、と私は考えています。
雑駁な感想ですが、今週は「宗教」についての所見の呈出を致しました。

西国霊場巡り(その3・河内国から大和国へ)

関西地方ではこの数日雨が続いています。いろいろな影響が出ているかと予想致します。まずは皆様ご自身の身の安全を確保してください。
こういう雨のときこそ、観音様に雨止みをお願いするのが良いのかもしれません。


「気長に」と言っていた私ですが、テクテクと西国霊場巡りをしております。
京都からのアクセスを考えて、まずは葛井寺(ふじいでら)へお参りしました。藤井寺市に在るので「藤井寺」という字に慣れてしまっていますが、正確には「葛井寺」です。葛井寺は、近辺の「葛餅(くずもち)」と境内の「藤の花」が有名で、その二つを掛け合わせたような寺名ですね。
【本堂】
本堂(葛井寺)
葛井寺にお参りして、本堂前の香炉に線香を寝かしてお供えすることに気が付きました。浄土真宗ではお線香を寝かす所作がありますが、葛井寺は真言宗ですので、少し不思議に思いました。
【香炉】
香炉(葛井寺)
お寺の方のお話によると、お線香が最後まで燃え尽きて、観音様に献香された方々のお願いが最後まで届くように、との意味合いからとのことです。「深いお考えだなぁ」と感じました。ご本尊の十一面千手千眼観世音菩薩さま(坐像)は坐っておられます。例えば、京都の清水寺のご本尊の千手観音さま(立像)は立っておられます。立っておられる観音様は衆生救済のための立っておられますので、直近のことをお救い下さるそうです。一方の坐っておられる観音様は説法や瞑想している御姿ですから、悩みごとなど長期的な事案をお願いすると救って下さるそうです。私は自分の人生に関する願いをお祈りしてきました。


次に向かったのは岡寺です。
【山門】
正門2(岡寺)
こちらのご本尊は塑像(そぞう)といって土で造られた観音様です。厄除けの観音様として特に厄年の方のお参りが多いお寺です。弘法大師様のころに造られたといわれる観音様です。西国三十三所巡礼の開創に、弘法大師・空海様は直接的には関わっていませんが、それでもいろいろな札所に弘法大師様のお名前が登場します。車や電車の無かった時代によくこれだけ広範囲に法を弘められたなぁ、といつも思います。
【本堂】
本堂正面(岡寺)
山の中腹に本堂がありますので、山登りをして本堂を上から撮影しました。
【本堂を上から】
本堂上から(岡寺)
明日香の風景も綺麗でした。
明日香の風景(岡寺)
仏像やそのお寺の歴史など、いろいろなことに関心を払うと、お参りするだけでいろいろなことが分かった気になります。霊場巡りも大変なようで、結構楽しみもあります。
大和国の札所について、また次回にご紹介します。

※このブログは、多くの方々に念珠、仏教、京都に関心を持って頂くことを目的として、週に1回程度の頻度で更新して参ります。

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