西国霊場巡り(その5・大和国から紀伊国へ) | 春は花

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西国霊場巡り(その5・大和国から紀伊国へ)

暑さが変わらず、まさに「酷暑」です。建物の外と中では温度差があり過ぎて、外出した際に体が付いていかないような感覚を覚えています。


西国霊場巡り、満願が見えてきました。今回は2カ寺のお参りの様子をご紹介します。
前回ご紹介した長谷寺から南へ行くと、南法華寺があります。通称「壷阪寺」と呼ばれます。歌舞伎や浄瑠璃では『壺阪霊験記』という演目がありますので、そちらをご存知の方も多いと思います。
【山門】
山門(壺阪寺)
【本堂】
本堂(壺阪寺)
『壺阪霊験記』は、盲目の沢市とその妻のお里の物語です。あらすじは次の通りです。沢市が目が見えるようになりますようにと、お里が毎朝、壷阪寺の観音様にお祈りに行っていました。毎朝、お里が出かけるので、沢市はお里の浮気を疑い、お里を問い詰めると3年の間、壺阪観音さまに沢市の目を治すようお祈りに行っていたと打ち明けられます。沢市はそれからお里と共に壺阪観音さまへお参りに行くようになりますが、自分が足手まといだと考えてしまい、満願の日に滝壺へ身を投げるのです。お里も後を追い身を投げます。沢市とお里の夫婦の愛を感じた観音様の霊験によって、二人は助かり、沢市の目も見えるようになった、というお話です。
このお話からも分かる通り、壺阪観音さまは「眼病治癒」の観音様として信仰を集めています。そして壷阪寺では、養護盲老人ホームが境内に設置されています。
『壺阪霊験記』の中の沢市の心情の変化、つまり、最初の嫉妬心から変化して自己嫌悪に陥り自殺するという心情の変化は人間の弱さを非常に的確に現していると感じます。
目というのは人間にとって本当に大切な器官です。目から受ける情報は膨大な量です。目の大切さだけでなく、目が見えることのありがたさなどは普段忘れてしまっているように思います。不平不満はあれども、再度、自分自身の恵まれた環境に感謝することが何より大切なことなのだと感じたお参りでした。


続いて、JRに乗って、和歌山の紀三井寺にお参りしました。。
【山門】
山門(紀三井寺)
【結縁坂】
結縁坂(紀三井寺)
【本堂】
本堂1(紀三井寺)
写真の通り、紀三井寺の本堂に至るまでの石段は231段ある急な坂で、結縁坂(けちえんざか)と呼ばれています。この石段が「結縁坂」と呼ばれるようになったのは、次のような逸話からです。紀伊國屋文左衛門がまだ若く貧しい頃に母を負ぶって紀三井寺に参拝していたところ、草鞋の鼻緒が切れました。それを挿げ替えてくれたのが後に妻となるおかよさんだったというお話です。その後、紀伊國屋文左衛門が当代随一の豪商になったのは教科書にも出てくる有名なお話です。
結縁坂の解説を読んで、一人でスタスタ西国霊場巡りをしている私は、両親を連れてお参りするのが功徳なのかもしれないなぁ、と思いました。


霊場寺院にはそれぞれに様々な逸話があり、それを知るだけでも何か心に感じるものがあります。霊場巡りだけではなく、日々お寺や神社に参詣されれば、心を洗う良い機会になると感じました。

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