六波羅蜜寺~あの世とこの世の境界~ | 春は花

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六波羅蜜寺~あの世とこの世の境界~

11月となると「涼しい」ではなく「寒い」という肌感覚になりました。季節は移り変わります。
あの世には行ったことがありませんので分かりませんが、誰もが死んだ後に行くことになるので実は身近な世界なのだと思っています。もしかすると、明日交通事故で死んでしまうかもしれない。こんな儚い世界に私たちは住んでいるのですから。
【本堂の扁額】
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昔の京都の人々はあの世とこの世の境目を御所から見て巽[辰巳]の方角(南東の方角)に定めていました。実際、御所から見て南東方角には西国観音霊場の第10番から第17番までの寺院がかたまっています。その中で第17番札所の六波羅蜜寺が今回お参りしたお寺です。17は33の丁度真ん中で、六波羅蜜寺は西国観音霊場の中央札所と言えます。
【本堂】
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六波羅蜜寺は浄土教の先駆者である空也上人が開基したと伝わるお寺です。空也上人は観音像を引きながら「南無阿弥陀仏」と唱えて京都中を廻られたそうです。平安時代、仏様は民衆にとってどれほど近い距離だったのでしょうか?想像するに民衆と仏様の距離は今より遠かったと思います。仏様はどちらかと言えば天皇や貴族など身分の高い人々の帰依によって日本に広まっていたからです。
空也上人は貴賤を問わず念仏を弘められました。平安時代、平安京造営がある程度落ち着いた時代にやっと民衆に仏様が近くなってきたのだと想像できます。そして空也上人があの世とこの世の境目である、都の巽に六波羅蜜寺を開基されたのも多くの民衆を救うためだったと想像できます。六波羅蜜寺は当初名前が「西光寺」と言いました。西方浄土から阿弥陀様がお越しになるということが寺院名にも如実に表れています。
【山門前の観音像(ご本尊様の写し)】
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本堂で観音様にお参りをした後、本堂横に在る地蔵堂へ行きました。こちらには銭洗弁財天様が居られます。
【地蔵堂】
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鎌倉の銭洗弁財天宇賀福神社の銭洗弁財天様が有名ですが、西国には六波羅蜜寺の銭洗弁財天様が居られます。
鎌倉の弁財天様はお金を洗って、そのお金を使わねばなりませんが、六波羅蜜寺の弁財天様では洗ったお金を動かさずに自宅の賢所で保管しなければなりません。弁天様は川の神様ですので、川の流れのイメージに起因して龍や蛇と結びつきました。その為、干支の辰や巳と結びついているのです。弁財天様には巳の日にお参りするとご利益がある(お金が増える)と言われているのもそうした理由からです。都の巽[辰巳]に六波羅蜜寺があり、弁財天様が居られるのも実はこうした意味があるのだという事が分かります。
滝などの水が激しく流れるところに不動明王さまが居られるように、都からの方角に応じて神仏が居られるのは恐らく易学が深く影響していたのだと思いを馳せながら、今回は六波羅蜜寺をお参りしました。
【六波羅蜜寺の御詠歌】
「重くとも 五つの罪は よもあらじ 六波羅堂へ 参る身なれば」
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