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春は花

Category Archives: 時事

天台修験道採燈大護摩供

五月なのにかなり暑いです。皆様、体調はいかがでしょうか?
先週末、私は比叡山延暦寺の根本中堂前で行われた天台修験道採燈大護摩供に参列しました。
【護摩供前の様子】
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【護摩供の様子】
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【延暦寺公式Twitterの投稿】
護摩供養の前には東塔の諸堂を拝礼して廻りました。三名の大阿闍梨様、そして山伏の方々とご一緒に比叡山延暦寺の諸堂を廻るというのはかなりありがたいことです。
護摩供の後、護摩壇のヒバの葉を頂戴いたしました。入り口に吊るすと魔を退散してくれるとのことです。
【ヒバの葉】
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昔から続けられている行事なのだと思いますが、今年初めて参列して、こうした儀式を続けることの大変さやありがたさを感じました。伝教大師様が「法灯の光を伝えよ」と仰った通り、千二百年を超えてもこうした教えは続いているのだなぁ、と感じました。

青紅葉

春爛漫ですね。こういうほのぼのとした季節は気持ちが上向いてとてもいい気持ちになります。
春と言えば桜が有名ですが、こういう季節に紅葉を愛でるのが個人的には好きです。
春紅葉
これからの1週間は近代日本においてはじめてのご譲位による御代替わりがあります。実はすさまじい歴史の1ページをリアルタイムで目にすることができるのだと歴史を学ぶ者としては感じます。
そして、スポットライトを浴びて注目される人々以外にも多くの人々が支えているのだということ、そして次世代を担う人々は今この瞬間もじっくりと成長を続けているのだということを春の紅葉を見て感じました。
10連休も楽しみですが、「歴史の証人になる」ような気持ちでこの1週間を過ごしてみたいと思います。良い休暇をお過ごしください。

お焚き上げ~一年の御礼を込めて~

もう3月です。時がたつのが早いですね。
弊社では祈祷札やお守りをいろいろな寺社様から頂戴致します。お札などは玄関の高い位置に掲げてお祀りしております。そうしたお札は立春から節分までの1年間で頂戴したものを次の年になるとお焚き上げして頂きます。
今週月曜日の2月25日に京都の東に在る黒谷の金戒光明寺で「浄焚式(じょうぼんしき)」が行われました。そちらに私も伺いました。
【山門】
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こちらでは、御札やお守りだけではなく古いお仏壇などの大きな物もお焚き上げされておられます。
【お焚き上げの様子】
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お守りやお札など、ごみ箱にポイとは捨てられない物を供養して頂くのは大変ありがたいことだと思います。勿論、こういうものは気持ちの問題なので、ごみ箱にポイと捨てられる方も居られるとは思います。ただ、いろいろな神仏の念が入ったお札やお守り等をきちんと供養して頂くことは重要なことだと私は考えています。
昨年一年の無事の御礼も込めて、今週は浄焚式のご紹介をさせていただきます。

春は花

新年あけましておめでとうございます。本ブログ共々、安田念珠店を変わらずご愛顧ください。
さて、昨年末に弊社に有縁の方から、山形の啓翁桜(けいおうざくら)を頂戴いたしました。平成最後の天皇誕生日に頂戴した際には芽がついた状態でしたが、そこから年越しに向けての約1週間かけて、内助の功がありお正月に合わせて花が咲きました。
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桜と言えば4月の入学シーズンを連想しますが、お正月に合わせて咲く桜も良いものです。弊社本店では入り口で桜が出迎えてくれます。本年は何か上手くいきそうだなという気持ちを抱いて新年を迎えることができました。
「目のお正月」を皆様に楽しんでいただきながら本年最初の投稿にしたいと思います。

宗教と行動規範

先週は雨がひどく、大きな被害が出た地域もあります。まずもって、皆さまの御平安をお祈り申し上げます。
先週の大雨の中、大きなニュースがありました。オウム真理教関連の7人の死刑囚の刑が執行されたニュースです。今回はすこしこの問題に付いて考えてみたいと思います。
死刑制度の問題はいろいろな方面から議論されています。今回考えるのは、「宗教のありかた」についてです。仏教でもキリスト教でも、日本において言えば新宗派を形成する際など、その教団が「新興勢力」である場合には規制や迫害されてきた歴史があります。時には暴力を用いたこともありました。ネロ皇帝のキリスト教迫害や日蓮上人の佐渡流刑などはその例として考えられます。人が生きていれば必ず悩みがあり、その悩みを少しでも解決したいと思って宗教が存在するのだと私は考えています。
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皆の容姿が異なるように、皆の考え方は異なります。それで良いのです。ですから宗教にもいろいろな考え方があって良いと思います。ただ、自分が信奉する宗教が、冷静に考えるとおかしなことをしようとしている場面に遭遇した時に「それはおかしい」と言える在り方をもつことがどれだけ大切で、またどれだけ大変なことなのかを一連の事件を振り返ると感じます。
弊社は皆様の信じる心に寄り添ったお念珠という商品を扱っております。皆様の信じる心が無ければ、弊社は存在しません。宗教は必要なものだと考えますし、どんな世界になっても無くなってはならないものだと思います。しかし、その「信心」の発露の方向が我々の生活する社会を脅かすものであってはいけません。
宗教というよりも、日本人が古来から培ってきた「親孝行をしましょう」とか「礼儀を大切にしましょう」といった考え方を根本にもった上で行動することが大切なのだと思います。
「忠孝」の精神を持って、そして「忠ならんと欲すれば孝ならず 孝ならんと欲すれば忠ならず」という相克の中で思い悩むのが生きている証拠であり、行動の規範となるものではないのか、と私は考えています。
雑駁な感想ですが、今週は「宗教」についての所見の呈出を致しました。

「こころ」を豊かに

5月になりました。暑い日が来たかと思えば、涼しい風を感じるような日も来て、春と夏を行き来する日々が続いています。


先日、NHKの「ブラタモリ」という番組を観ていましたところ、銀閣近辺を散歩されていました。この番組の特徴は地形や地層好きのタモリさんが解説をする専門家よりも先に答えを言ってしまうところです。地層好きの私も興味深く拝見していました。
銀閣の中で、足利義政公が生活空間とされていた「同仁斎」で、付書院の前の障子を開けるとそこが「自然の掛軸」のように見えるという解説がありました。自然を部屋の装いの一部として取り入れるという発想が非常によくわかるお話でした。
【建仁寺の付書院】
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【建仁寺の格子窓】
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これを「美しい」と感じるか否かは、各自の心次第です。それが良いとか悪いとかいう問題ではありません。
以前お話を致しました「『こころ』と『おこない』の往復」という考えを踏まえると、いろいろな物や景色を目にすることで、その鑑賞者の「こころ」が豊かになって行くのだと私は考えています。
連休中に各地に赴かれる方も多いと思います。自然を取り入れた日本の美しさを探してみるのも楽しみの1つかもしれません。そして皆様の「こころ」を豊かにして頂ければと思います。有意義な日々となることを願っております。

”外”に伝える

先日、アメリカからやって来た友人と話していて、日本の文化などを説明するのに苦労しました。「佗とは何か?」などと聞かれて、『山上宗二記』や武野紹鷗の『佗の文』のお話をしましたが、よくわかってはもらえませんでした。私の語学的な問題もあったでしょうが、日本語であっても十分に説明できるのか分かりません。
京都には外国人観光客の方が多くお越しになります。日本にお越しになる方は、それだけで日本に興味を持っておられることが分かります。「日本らしさを求めて京都を散策されているのだろうなぁ。」と傍から眺めて感じております。
そんな中、最近では外国人向けの茶道体験の教室が多く存在しているようです。私も1度だけ顔を出したことがありますが、日本人よりも外国の方々の方が相当「日本らしさ」を体現しておられるように感じました。
こうした需要の高まりからか、外国人向けの茶道英会話文集が出版されました。見開きの右側には日本語、左側には英語といった体裁になっています。会話文なので、読み易く、茶室へ実際に行ったような感覚になる本でした。
枯山水
日本に関しての注目が高まっている中で、私たち日本人が「日本」について十分に理解し発信できる能力を身に付けていくことが重要なことなのだと感じた1週間でした。

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外国人に茶道を伝える英会話例文集

著者:高橋絹子・新崎隆子 
出版社:淡交社
発売日: 2018/03/10
メディア: 単行本(ソフトカバー)
参考URL:外国人に茶道を伝える英会話例文集
(淡交社)

 

大丈夫 心配するな なんとかなる

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ここ数回は宗派による念珠の違いをみてきました。続きは次回以降にして、今回は私の感じたことをお話ししようと思います。


先日、神奈川県座間市のアパートから9人もの遺体が発見される事件がありました。亡くなった方々は自殺願望があり、犯人は被害者の自殺を手伝う意図を持って近付き、犯行に及んだとのことです。
この事件は、私にとって非常に衝撃的でした。本気で「死ぬこと」を希望する人がこれほどまでに多く、にもかかわらず自力で死のうとしなかった。もしかすると、被害者の方々は同じ気持ちや同じ経験をした人を捜し求め、そういった人と苦しみを共有したかったのではないか?――私はそう考えるのです。
最近はインターネットの普及に従って、TwitterやFacebookなど様々なSNSが広く利用されるようになりました。これは人々の「つながっていたい」という欲求を満たすツールとして爆発的に広がりました。電車に乗って携帯電話を操作している人が大勢いるのは、”誰か”と”いつでも”「つながっていたい」という気持ちを大勢の人が持っていることの証左です。
ただ、人との「つながり」がどうも表面的になってしまったようにも感じます。本当に困った時に相談したり助けてくれる家族や友人、近所の人が少なくなったようにも思います。
私の好きな言葉に「大丈夫 心配するな なんとかなる」という言葉があります。「一休さん」で有名な一休宗純禅師が最期の時に、その弟子たちへ「本当に困った時に開けなさい」と言って遺した箱の中にあった言葉だと伝えられています。弟子たちは寺が窮地に追い込まれ、手を尽くした後にこの言葉を見て、笑ってしまったと伝わっています。
(右の画像の掛物は京都・東山建仁寺管長・小堀泰巖老大師様が揮毫なさったものです。)
生きるというのは面倒なことや大変なことの連続ですが、生きていれば楽しみや喜びを感じることも出来ます。決して悲観的にはならず、楽天的に生きる事が大切なのだと感じます。
今回の事件の報道に接して、窮地に陥った時に相談に乗ってくれたり、助けてくれる方を1人だけでも良いので持つ必要性を痛感しました。そして、血縁関係がなくともお世話になった先生やご近所の方々など、自らと関わりを持った人々を定期的に気遣うことが大事であると、今回の事件を機に一層強く感じました。
今回は、私の感じたことをお話ししました。

夏来るらし

6月になりました。毎日暑い日が続きます。もう夏ですね。
こんなに暑いと体がだるい気がしますが、洗濯物にとっては良い環境です。本当によく乾きます!
昨日、私は電車に乗っていて、民家に干されている洗濯物を目にしました。こういう光景を見ると、今も昔も変わらないなぁ、と思います。
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『万葉集』にこんな歌があります。

春過ぎて 夏きた るらし 白栲しろたへ の 衣 したり あま 香具山かぐやま (持統天皇)〔巻一・二八〕

訳文としては、
「春が過ぎて、夏がやって来たようです。純白の衣を干してありますよ。天の香具山に。」
といったところでしょうか。

百人一首の2番歌の持統天皇の歌は
「春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すてふ 天の香具山」
で、こちらの方が有名です。
実はこの二首は元は同じ歌でした。持統天皇は万葉仮名で
「春過而夏来良之白妙能衣乾有天之香来山」
と書かれ、それが収録される歌集によって少しずつ違っているそうです。

この歌は夏が到来したことを喜んでいるように読めます。勿論そうなのですが、私は「天の香具山」という文言から、「春から夏」だけでなく、季節が移り変わることを感じ、神に感謝している歌のように解釈しております。
季節の変化は日常のふとした光景から気付けるのだと、列車の車窓から実感しました。

アメリカ新大統領と「祈り」

本日、アメリカ合衆国では新たな大統領が誕生しました。新大統領の行動や政策は世界中に影響があり、様々な期待や懸念を持って見守られています。
アメリカで起きた「トランプ現象」を見て、「別の国のことだ。」と思ってしまうのではなく、少し立ち止まって考えてみたいと思います。
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日本に住んでいる私達は、世界の中では大変恵まれています。水道の水を飲めますし、日が沈んでから街を歩いても命の危険はありません。(当然のことのようですが、日本以外ではあり得ないことです。)コンビニエンス・ストアに行けば食べ物、飲み物が揃います。何て便利な環境なのでしょうか!!
しかし、私達が平穏に過ごす今この瞬間にも世界の中に飢えた人が居るのは事実です。だからといって、私達にも普段の生活がありますから、苦しむその人達の元へ駆け付けて助けてあげることは現実的にできません。では、どうすれば良いのでしょうか?
トマス・ポッゲという思想家が居ます。彼は『なぜ遠くの貧しい人への義務があるのか――世界的貧困と人権〔原著題:World Poverty and Human Rights: Cosmopolitan Responsibilities and Reforms〕』という本を書いています。この本では世界の貧困を解決するため、現状分析と解決策の提案が為されています。この本の主張の1つには、先進国の人々が現在のグローバルな秩序を支持することで、遠く貧しい人々への人権侵害をしている、というものがあります。
なかなか難しいです。私たちは、知らず知らずのうちに人権侵害をしている、と言われているのです。そんなつもりはないのに。。。
「自分自身の生活が第一」であることは現実的には致し方ないのです。しかし、利己的になり過ぎず、思いやりの気持ちを持つこと。これが、たくさんの人の集まりである社会を円滑に進める秘訣なのではないでしょうか?
自分だけのこと、自分の国だけのこと、これに固執し過ぎると良い結果はでないのではないか、と私は考えます。
傳教大師・最澄様がおっしゃった「忘己利他慈悲之極」を胸に抱き、手を合わせる一時ひとときを持つ余裕があれば良いのではないか!?
世界の流れが劇的に変わる今、「祈り」の大切さを私なりに考えてみました。

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なぜ遠くの貧しい人への義務があるのか――世界的貧困と人権

著者:トマス・ポッゲ 
監訳者:立石真也
出版社:生活書院
発売日: 2010/03/25
メディア: 単行本(ソフトカバー)
参考URL:http://www.seikatsushoin.com/bk/052%20pogge.html
(生活書院)

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