念珠の形(総論・その2) | 春は花

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念珠の形(総論・その2)

「果報は寝て待て」ということわざをご存知でしょうか?このことわざは「幸運は人の力ではどうすることもできないので、チャンスが巡ってくるまで待っていればよい。」という意味です。ただ「寝て待て」とは言いながらも、もちろん何もせずに寝ていてはいけないのでしょう。努力をすることが大事なのだろうと思います。
この「果報」という言葉、「功徳」や「ご利益りやく」などと言い換えても良いかもしれません。そうするとこのことわざは「ご利益りやくは時機が来れば現れる。」と解釈できます。
さて、7月に達磨大師と梁の武帝との問答をご紹介しました。そこでは、武帝が「私はこれまで寺を建て、経を写し、僧尼を供養してきたが、どんな功徳があるか?」と尋ねると、達磨大師は「無功徳(何の功徳もありません)」と答えた、と記しました。
武帝は「こんなに良いことをしたのだから、私にはたくさんご利益りやくがあるはずだ!」と思っていたのでしょう。何かを求める人には何のご利益りやくもないのです。


前回、お念珠にはお守りとしての役割がある、と申し上げました。
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上の画像のお念珠はどちらも星月菩提樹せいげつぼだいじゅという材を用いたお念珠です。
左側の白っぽいお念珠が新しいもの、右側の茶色掛かったお念珠が長年使用したものです。もちろん少し加工してはおりますが、年を経て使い続けるとこのように木の材は変化していきます。こうした色の変化は決して”求めて”出来上がるものではありません。人の手のぬくもりに木が反応して「つやが出る」のです。そのお念珠が使われる頻度のよって、同じ年数所有されていても「つや」に差が出ます。
「お念珠はお守りである」と私が考えるのは、お念珠にはお持ちになる各々の方への「ご利益りやく」が投影されるものだと考えるからです。決して求めて手に入れられるものではありませんが、若くても年を重ねていても、男性でも女性でも、そんなことは関係なく、いつも皆様の傍らにあって守って下さり、いつの間にか「ご利益りやく」が備わって来るものなのです。
お念珠にはこうした変化を仏教的に「ご利益りやく」と捉えることも出来ますし、単純に色の変化を楽しむことができるという2つの側面があります。皆さまがお念珠を傍らにお持ちになって「ご利益りやく」を受けられることを私は切に願っております。

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