ロシアの宗教 | 春は花

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ロシアの宗教

「日本の隣国」というと、皆さんはどの国を思い浮かべるでしょうか?中国や韓国を挙げる方が大半なのではないかと予想します。
実は中国と韓国以外に隣国は沢山あります。その中の1つがロシア連邦です。
ロシアというとどのようなイメージでしょうか?ウォッカ、クレムリン、ピロシキ、マトリョーシカなど思い浮かべるものはいろいろあります。今日はそんなロシアの宗教のお話です。


ロシアは国土が広く、モスクワなどのヨーロッパ地域とシベリアなどのアジア地域はかなり離れています。ロシアの国土の東西は約1万Kⅿ離れているそうです。
そんなロシアも10世紀にはキエフ(現在のウクライナの首都)を中心とする小さな国でした。そして、988年にウラジーミル1世によってキリスト教が導入されました。ウラジーミル1世がキリスト教の洗礼を受けたのはクリミア半島のケルソンでのことです。ロシアにおけるキリスト教は、ロシア正教といわれる正教会の一宗派です。
八端十字架】(ロシア正教会で用いられる十字架です。)

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日本におけるキリスト教はカトリックやプロテスタントがほとんどで、ロシア正教やギリシア正教などと言っても何が違うのか、あまりよく分かりません。
実は、ロシアにおけるキリスト教は、EUに加盟している国々に代表される所謂「ヨーロッパ」のキリスト教とは若干趣が異なります。
キリスト教導入前のキエフ大公国では自然崇拝が為されていました。具体的には、大自然との深いかかわりの中で、母なる大地のすばらしさ、親子のぬくもり、祖先の霊を崇める、といったものでした。どこか日本の「八百万神」と似通った部分があります。
10世紀当時の政治状況や「文明国」としてキエフ大公国が認められるためにキリスト教の導入が必要であった、という経緯があります。ただ、結果として導入されたキリスト教がロシアの中でそれまでの土着の神々と共存するために変容し、変容させていったのは事実です。その過程が私個人としては非常に興味深く感じました。
前述した土着の神々は、キリスト教における「唯一の神」と「人間」とをつなぐ媒介(仲介者)として変容していきます。例えば、雷神ペルーンは『旧約聖書』に登場する預言者エリアに変わったかのように投影されることがあるそうです。
ロシアの土着宗教(自然崇拝)とキリスト教の関係は、キリスト教を「主」として、そこに自然崇拝の神々の中から当てはまる神だけを当て嵌める形式です。日本の神道と仏教が融合した習合的ではありません。
2014年に生じたロシアによるクリミア併合という問題があります。ロシアにとってクリミア半島はウラジーミル1世の洗礼地ということあり、国民にとっては非常に重要な土地であることが分かりました。また、ソ連という時代を経験したロシアにおいて宗教が無くならなかった理由も少しながら分かりました。


日本に居ると、欧米目線で世界を捉えてしまいがちですが、「隣国」であるロシアのことも学んでみると面白い部分があると感じました。

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ロシア精神の源――よみがえる「聖なるロシア」

著者:高橋保行 
出版社:中央公論新社
発売日: 1989/12/10
メディア: 新書

 

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