6月になりました。毎日暑い日が続きます。もう夏ですね。
こんなに暑いと体がだるい気がしますが、洗濯物にとっては良い環境です。本当によく乾きます!
昨日、私は電車に乗っていて、民家に干されている洗濯物を目にしました。こういう光景を見ると、今も昔も変わらないなぁ、と思います。

『万葉集』にこんな歌があります。
春過ぎて 夏来 るらし 白栲 の 衣乾 したり 天 の香具山 (持統天皇)〔巻一・二八〕
訳文としては、
「春が過ぎて、夏がやって来たようです。純白の衣を干してありますよ。天の香具山に。」
といったところでしょうか。
百人一首の2番歌の持統天皇の歌は
「春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すてふ 天の香具山」
で、こちらの方が有名です。
実はこの二首は元は同じ歌でした。持統天皇は万葉仮名で
「春過而夏来良之白妙能衣乾有天之香来山」
と書かれ、それが収録される歌集によって少しずつ違っているそうです。
この歌は夏が到来したことを喜んでいるように読めます。勿論そうなのですが、私は「天の香具山」という文言から、「春から夏」だけでなく、季節が移り変わることを感じ、神に感謝している歌のように解釈しております。
季節の変化は日常のふとした光景から気付けるのだと、列車の車窓から実感しました。
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