心地よい風 | 春は花

安田念珠店 オフィシャルサイト

春は花

心地よい風

00034DSCF8048

5月も下旬になり、一気に暑くなりました。そんな中でも外を歩いていて、時折吹く風を感じるのはとても心地良いものです。
風も季節によって呼び方が少し変わってきます。
春(3月末~4月):春風(しゅんぷう)
5月:薫風(くんぷう)
6月:涼風(りょうふう)
7月:松風(しょうふう)
それぞれに出典がありますが、今回は5月の「薫風」をご紹介しようと思います。この言葉の出典は「薫風自南来」です。
(右の画像の書は、鎌倉・巨福山建長寺管長・栢樹庵 吉田正道老師様の揮毫された書です。)
「薫風自南来」は「くんぷうじなんらい」とそのまま音読みする場合と、「くんぷうみなみよりきたる」と読み下す場合があります。この言葉には「殿閣微涼を生ず」という続きの語があります。
意味としては、「心地よい風(ほのかな香りのする風)が南から吹いてきて気持ちが良いなぁ。暑さの中、宮殿も心地よい涼しさに包まれた。」と字面からは読み取れます。
この言葉は昔の中国の皇帝〔唐の文宗(ぶんそう)〕が詠んだ詩が出典です。皇帝の住んでいた宮殿は南向きに建てられていましたから、南からの風を感じたのですね。実は、半年ほど前にご紹介した「南無」についてもこうした経緯から、南基点になったのではないか!?と私は考えております。
暑い日々、頭がボーっとしてしまう季節となりますが、そんな時に涼しい風を感じると本当に心地いいものです。物事に関しても、色々考えていると「煮詰まって」しまい、良い案が浮かばない時があります。そんな時、「ちょっと一息」を入れることも大切なのです。日本では昔から「三時のおやつ〔御八つ(=昔の時刻を表す言葉で、現在の午後2時~午後4時のことを指します。)〕」という習慣があります。これは「薫風自南来」に通じる習慣だと私は考えております。
宋の時代の詩人・蘇東坡(そとうば)が批判したことでこの言葉は有名になったそうです。(禅語としては、大慧禅師の大悟の語として知られています。)
実は蘇東坡という詩人は前回の「無一物中無尽蔵」にも関わりのある人物です。揮毫して下さった老師様も前回と同じく栢樹庵老師様です。弊社は京都で商いをしておりますが、鎌倉を陰ながら支える役目を仰せつかっております。(参考までにこちらをご覧ください。)
今回は季節の言葉をこれまでの記事と関連してご紹介致しました。

安田念珠店

〒604-8076 京都市中京区御幸町通三条下ル海老屋町323

TEL:075-221-3735 FAX:075-221-3730

E-mail:yasuda@yasuda-nenju.com

受付時間:平日(月~金曜日)AM9:00~17:30まで