「念珠」の「念」について(その2) | 春は花

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「念珠」の「念」について(その2)

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袖振り合うも他生の縁」という故事があります。故事ことわざ辞典によると、「知らない人とたまたま道で袖が触れ合うようなちょっとしたことも、前世からの深い因縁であるということ。」との意味であると書かれています。現代のイメージで言うと、電車で偶然に隣の席に座るのも因縁によるもの、というところでしょうか。
人との出逢いだけではなく、物との出逢いにも不思議なものがあります。私は古本を購入することが多いのですが、そこに予期せぬ書き込みがあって驚くことがあります。
前回ご紹介した横田南嶺老大師様のご著書にたびたびご登場なさる坂村真民さかむらしんみん 先生(1909年-2006年)という仏教詩人が居られます。坂村先生の詩に興味を持った私は全集を購入してみることにしました。つい昨年のことです。購入してビックリ!全集第七巻の見開きに坂村先生直筆のサインがあったのです!!
(右の画像をご覧ください。)
そこには「念に生きる」と書かれていました。はて、どういう意味なのか?
坂村先生の詩の中には「念」という語が入った詩が数多くありますが、ここではその名も「念」という詩を引用してみます。


花が咲くのも念
鳥が鳴くのも念
宇宙が回転するのも念
太陽が出現するのも念
だからわたしは
手を合わせて見
手を合わせて聞き
手を合わせて拝むのだ

坂村真民『坂村真民全詩集〔第七巻〕』(大東出版社、2001年)57頁
さてさて、「念=今を感謝する心」という前回お示しした私の解釈はこの詩にうまく当てはまっているでしょうか?
私はこの「念」という詩を(自分勝手に)解釈してみました。
花は咲くことに今この瞬間一生懸命、鳥も鳴くことに今この瞬間一生懸命、宇宙だって、太陽だってそう。だから、私たち人間も手を合わせて、心を落ち着かせ、今を一生懸命に生きるのだ。
ですから、「念に生きる」とは「今を一生懸命に生きる」ということなのではないか、と私は考えています。
未来のことが心配になるのが世の常ですが、まずは“今”を一生懸命に生きないと“未来”はやって来ません。
何より大切なのは今を一生懸命に生きること。当然のことのようで、実はこれが一番難しいことなのかもしれません。
「念」とは何か。私は「今を感謝する心」、そして「今を一生懸命に生きること」である、と考えています。

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