「十代目の部屋」コラム14 ‐ 天和3年(1683年)創業の安田念珠店

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第14回 真の幸福感
今年初頭、日本国中を駆け巡ったものに、日本の「GDP(国民総生産)」が中国に抜かれて42年ぶりに世界第二位から第三位に落ちたというニュースがありました。 昨年(2010年)から云われていたことですが、実際その瞬間が来た時、最近の経済の停滞感もあり その衝撃は日本国民にとって大きかったと思います。

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しかしそんな折、テレビや新聞で耳慣れない言葉を何度か聞くことがありました。
それは、「GNH(国民総幸福)」という言葉です。この言葉は、アジアの小国ブータンの国王が随分以前に唱えた概念だそうです。
つまり、経済的、物質的繁栄ではなく、日々の暮らしの幸福感を重視した国の政治的指標です。今、日本人が新たに目指すべき指標として、この言葉が注目されているというのです。

今日、「無縁社会」という言葉が日本社会には満ち溢れています。人々は我欲だけを満たすためだけに働き、日本社会の持つ美しい絆を顧みなくなりました。この「無縁社会」という言葉は、経済的な政治的な行き詰まりと共に日本社会の根本的な行き詰まり感を表わしていると思います。
日本人は世界第二位の経済大国ということに浮かれて、あまりにも経済的な豊かさを求め過ぎたのではないでしょうか。そして我々が本来持っていた心の豊かさを忘れてしまったと思います。また、真の幸福とは何かを見失っていたのではないでしょうか。失ったものは大きかったと思います。 

このような精神的座標喪失の時こそ、歴史の中で日本の精神文化を育み、そのバックボーンになってきた仏教が 新たな役割を担う時だと思います。つまり、物質的充足感だけを幸せの尺度にするのではなくて、(近代化以前の日本がそうであった様に)精神的充足感も同時に幸せの尺度にしていくことに関わっていくことだと思います。

先に挙げたブータンという国も仏教国です。仏教の持つ大きな包容力が日本人を大きく包み込むことが出来るなら、日本の「GNH」は世界の一流になれるのではないでしょうか。そんな気がします。

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