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第7回 地獄のそうべえ
ある小学生がいました。秋の学芸会で「地獄のそうべえ」という劇をクラスでやることになりました。その筋は、そうべえという曲芸師が綱渡りを失敗して地獄へ落ち、様々な試練の後、地獄から生還するというものです。小学生が演じるにふさわしいコミカルで微笑ましい劇です。

この劇をクラスでやるとなった時、担任の先生がクラスの生徒に「今度の劇は地獄を題材にしたものです。みんな来週までに地獄というものはどんな所か、お父さんお母さんそれから誰でもいいから知っている人に尋ねて調べて来なさい。」と言いました。

彼は家に帰って、誰に尋ねればいいだろうかと思案しました。そして、以前、キャンプでお世話になったお坊さんを思い出し、その人を尋ねました。数年ぶりの再会であったにもかかわらず、そのお坊さんは、彼のことをよく覚えていましたし、彼の地獄についての問いに実に親切に答えてくれました。

人間は生きている時に悪いことをすると死んだら地獄に落ち、そして地獄には様々な責め苦があり、それぞれの責め苦は落ちた者を終わることなく責め苛むのだと。

帰り道、家へと向かう自分の足が速くなっているのに気が付きました。「地獄なんか実際にはないのだ」と思いながらも、「悪い事をしたら地獄で怖い目に遭うのか」と思わざるをえませんでした。家へ帰った彼は、お坊さんから聞いたままを興奮した面持ちで母親に話しました。「お母さん、地獄ってこんなに怖いところらしいよ」と。たった今、地獄を自分の目で見てきた様に話しました。

今、この時代、私達大人は、社会の中に子供たちに気軽に地獄を語れる雰囲気や装置を持っているでしょうか。地獄なんて不合理な迷信、と切り捨てる前に、心の抑止力としての地獄を見直してもよいのではないかと思います。昨今の児童による凶悪事件などを聞くにつけ、もしこれらの児童が心に地獄という抑止力を持っていたら、結果は違っていたのではないかとも思うのです。

現代社会の物の豊かさを真の幸せとするためには、物に釣り合うくらいの心の豊かさを我々は持たなければならないでしょう。その心の豊かさを後ろから支えるものが倫理であると思うのですが。そして倫理教育は幼い時にしてこそ意味があり、それを子供達に施す社会的な装置を今一度整備しなければならないのではないでしょうか。エピソードの様に、「お寺」にその役割をもっと担ってもらえればと、思います。

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